思い出書いておくブログ

なんの取り柄もない33歳のブログ

世の中を凌ぐ(6)【蕪木君②】

カブちゃんの話の続き

 

僕はカブちゃんが大好きだった。
カブちゃんのおばあちゃんもおじいちゃんも大好きだった。
小学1年生から3年生の友達との思い出は今はカブちゃんばかりだ。
小学校ではクラスの半分が僕からいじめられているという有様だったし、
転校生をいじめていたやつだから、友達も少なかったのだろう。

しかし、カブちゃんはおろか蕪木家はそんな僕をしっかり受け入れてくれた。

今日思い出した思い出は

「蕪木家初のペット 」のリスについてだ。
当時、なぜかリスが流行っていたような気がする。
かわいいとか、ほのぼのしているイメージで流行っていたのかもしれない。

 

ある日、カブちゃんの家に遊びに行くとそんな流行っているリスが2匹いた。
いつも控えめなカブちゃんだか、その時は鼻息が荒かった。

どうやら、蕪木家のペットとして飼われたようだった。
檻の中を世話しなくかわいらしいリスが走り回っている。
確かにかわいい。ヒマワリの種をガシガシ食べている。

 

もちろん小学生低学年の僕はカブちゃんに
「触ってみたいから、檻から出してよ」

というに決まっている。

だがカブちゃんの表情が曇る。
聞いてみると。


 

めちゃくちゃ狂暴らしい。


こんなにかわいい見てくれなのにめちゃくちゃ狂暴らしいのだ。


カブちゃん曰く、めちゃくちゃ噛みついてくるらしい。


僕は大爆笑したのを覚えてる。
子供の時の性格は大人になっても変わらない。
今聞いても大爆笑するだろう。
そう聞くと余計に檻から出したくなるのが子供心だ。

 

「いや、檻から出してよ!かわいいじゃん!絶対今日は噛まないって!」
と、中々な交渉力&ゴリ押しして1匹だけ檻から出してもらえることになった。

 

最初は優しくカブちゃんがなでなでしていた。
全然狂暴じゃないじゃないか!と思った。

かわいいなーと思って、そろそろ僕にも触らせてと言おうと思った

 

その時!

 

かわいいリスがカブちゃんを噛んだ。
カブちゃんにカブりついた訳だ。

 

びっくりしたカブちゃんはリスを投げ飛ばしてしまった。

 

不運なことに、窓が空いていてそのまま家の外に買ったばかりのリスはとっとこと飛び出てしまった。

その後、何時間か探したけど見つからなかった。

 

残念でなんか申し訳ない気持ちになったことを覚えているが、
次の日、小学校で面白おかしくみんなに話したことも覚えている。
子供の時の性格は大人になっても変わらない。

 

後日談として、

もう1匹のリスも程なくして脱走して、蕪木家には空の檻だけが残った。

もちろん、これも小学校でみんなの前で面白おかしく話したことを覚えている。

子供の時の性格は大人になっても変わらない。

 

 

カブちゃんは、おとなしめの子供だったが多彩だった。
才能にあふれていた。そんなカブちゃんを知っているのは僕だけだったかもしれない

まず、
頭がいい  賢いのだ。

僕も賢い方だったけど、多分僕より賢かったと思う。
勉強でも知恵でも。
ゲームもいつも負けていたし。
将棋や五目並べも負け越していたと思う。

 

他に運動神経もいい。いつも外で2人で遊んでいたが
足も速いし、野球もサッカーもうまかった。
でも優しい性格だから、僕はFWでカブちゃんはDF
僕がシュートする人で、カブちゃんはセンタリング上げる人
僕がピッチャーでカブちゃんはキャッチャー
特にDFとセンタリングは小学生のレベルではなかった。
のちに氏小サッカー部(結構強かった)のセンターバックはカブちゃん
リベロは豊(幼稚園編に出てた)で小6からは僕がGKで守りの縦3枚になる。
3人とも市の選抜に選ばれるが、カブちゃんだけ辞退していた。

 

のちに中学校でカブちゃんは卓球部に入部してかなりの成績を収める。


カブちゃんのおかげで幼少期からオーバーヘッドやジャンピングボレーなど
練習できたから実践でスーパーゴールを何度も決めてきた。
僕はFWは上手くはなかったけど、魅せるプレーをいつも褒められていたのは紛れもなくカブちゃんのおかげだった。

 

後は、ピアノもできるし、絵もうまい、字もうまいし、やさしい。
その時に、男は見た目じゃないし、元気な奴がすごい奴でもない。
ってことを知れたのはいい経験だった。

それからは、独特な感性を持ったクラスメイトに強い興味を持つようになった。


カブちゃんにはいろいろ教えてもらった。

 

頭脳系や頭を使う遊びは小学校を卒業するまでカブちゃんと遊んでいたと思う。

 

4年生になると部活動に入部出来てサッカー部に入ってからは少しカブちゃんと遊ぶ機会が減った。だからあまり記憶がない。


ただ、すごく覚えている出来事がある。

僕が6年生の時、僕はGK、カブちゃんはDF(豊もいた)

で共にすごく居心地よくDFラインを構築していた。
結構な強豪と練習試合をしていた時に、僕が前に出て後ろにはじいたボールを
カブちゃんの俊足でゴールにカバーに入ってスライディングでボールを掻き出した後に
明らかに遅れて相手のFWがカブちゃんにスライディングをした。
結構鈍い音がして、その後にカブちゃんがうずくまっているのが見えた。

それを見ながらさっきのはゴールだと抗議している相手の背中めがけて蹴ったのは後悔していない。絶対に間に合うはずもなかったから明らかに削りに行っていた。


カブちゃんは半泣きで途中交代。そのまま病院に向かった。

 

カブちゃんが翌日松葉杖で学校に来た時には、笑った。
子供の時の性格は大人になっても変わらない。


ただ、女の子に「どうしたの?」と聞かれて
「ちょっとサッカーで相手にやられて・・・」
と誇らしげに言っているカブちゃんがカッコよかったことを覚えている。
小学生には骨折&松葉杖のセットはその日のスターになれるアイテムだった。

でも、こんなにひどいケガなら、相手の事蹴っておいてよかったと思った。
きっとあそこで、何にも悪びれてないあいつを蹴っていなかったら後悔していただろう。

 

 

カブちゃんの話はまだまだ尽きないけど、カブちゃんの話で5話位書けてしまいそうだから次は「クレイジーばあちゃん」の話をしようと思う。

これにももちろんカブちゃんも出てくる。

 

では、おたのしみに。